スペイ川で有名なものにスペイ・キャスティングがある。
フライフィッシングのキャスティング(遠投技術)の一つ
であるがその独特な方法がアメリカや日本でも10年ほど
流行っている。前後にライン(釣り糸)を振る一般的な方法と
異なり、スペイキャスティングはほとんどラインを後ろに
振り上げない。最初に日本に入ってきた当時はグレン(谷)
で発達したので、後ろにある障害物をよけるためにでき
あがったキャスティング方法と解説されていた。
フライ・フィッシングは通常0.5gにも満たない軽いフライを
ライン(カラーのビニールコーティングされた糸)の重さで
竿を曲げその反動で前方に飛ばす釣り方である。
日本で思う、渓谷、谷は切り立った岸壁を想像しそのような
事を書いたのだろうが、実際のグレンは日本で言えば小さな
へこみ、地形のうねり程度であった。
またスペイ川は川幅も広くまた殆どのフィッシャー・マンは
川に立ち込んで釣りをするので後方に障害物・・
の考えはまったくあてはまらないことがわかった。
スコットランドでは川の所有権はその川が流れている土地に
付随している。上の写真はマッカラン蒸留所が所有している
敷地内を流れているスペイ川で所有、管理はマッカランが
している。ビット(BEAT)と呼ばれる区間に分けて1日単位
ごとに年間で貸し出されている。
このエリアで年間上がるアトランティック・サーモンは
80〜100本程度だそうで多くない数である。
常に上流に移動していくサーモンを釣るためには
何度もラインを振る方法(後方に)よりも
一回で無駄なく確実に狙ったところにラインを送り込む
為の実践的な方法としてスペイ・キャスティングが
生まれた事が現地に来て初めてわかった。
このビットを管理し、良い状態に保つ仕事をしている人に
ギリー(川番)がいる。
代々ギリーを生業としてきたスペイ川の主である。
家紋と同じ意味を持つ独自のツイードに身をかため川のこと
釣りのこと天候のことすべてをアドバイスしてくれる頼もしい
管理人である。彼らは地主に雇われており、アテンドのお礼は
マッカラン750mlのボトル1本であった。
自然を守り共生してきた彼らの誇りがジャケットの襟を飾る。
日本で言う番小屋の中である。綺麗に整頓されフライマンにとっては
教会の中に匹敵するが、教会と違うのはしっかりスコッチが置いて
あることである。何百年も続いてきた光景だと思うと、趣味を持つ
ことは人生を豊にするな・・と改めて思った瞬間である。
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